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ザ・ロード コーマック・マッカーシー

『ザ・ロード』はコーマック・マッカーシーによる2006年の作品。コーマック・マッカーシーはトマス・ピンチョン,ドン・デリーロ、フィリップ・ロスと並んで、アメリカの現代を代表する4人の小説家のうち一人として数えられる。物語の背景となる舞台の説明は無いが災害、核などの天変地異により崩壊した世界で父と子の二人が海がある南を目指すというもの。動物、植物は死滅し,廃墟になった家々で缶詰などの食料を手に入れ,時には生き残るために人を喰らう悪しき者達に遭遇する(見事な解説は訳者あとがきを参照)。

父と子供は善き者として道中を彷徨う。この状況下であっても,彼らは人間性を失うのを恥としている。子供が他者のために犠牲になるのなら、自殺するよう子供に何度も父は確認する。父と子供の会話の終わりには子供が”わかった”という結びが多い。対話を真意を絶えず一歩一歩、確かめるかのように。

ぼくらは誰も食べないよね?
ああ。もちろんだ。
飢えてもだよね?
もう飢えているじゃないか。
さっきは違うことをいったよ。
さっきは死なないっていったんだ。飢えないとはいってない。
それでもやらないんだね?
ああ。やらない。
どんなことがあっても。
ぼくたちは善い者だから。
そう。
火を運んでるから。
火を運んでるから。そうだ。
わかった。(115頁)

荒涼とした世界を絶妙な筆致で描き出すこの作品には文章(当然、邦訳も)に対する気品を感じる。久々に良い小説を読んだなと思える作品でした。

残念ながら,日本の書店において手軽に文庫で、これらの作品を読むことはない気がする。ましてや,海外にいると入手困難。ドン・デリーロの『アンダーグランド』を読みたいと願っても在庫切れであるし,中古価格も高い。Saleで$20前後で入手した英語版では827頁…だが、到底、最後まで英語で読み切ろうという気力はない。願わくば,簡単に邦訳を購入できる環境になればなと思います。


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